創業者・藤木屋幹助は、大手アパレルメーカーに就職し、百貨店で紳士スーツを販売してきました。幼少より祖母から茶道の指導を受けていたため、着物を着用していましたが、それまでは着物をお下がりの練習着としてしか着ていなかったため、初めて自分で着物を購入しにいった時に「事件」が起きました。
呉服屋や百貨店は敷居が高く、また販売価格も高いため、とても自分の手の届くものではありませんでした。またリサイクル着物屋は、店頭在庫の9割以上がレディース着物で、残念ながらメンズのリサイクル着物は商品量そのものが少なく、戦後、日本人の身長が伸びているようにメンズ着物があったとしても、いくつかある中から選べるわけではなく、「サイズがあるから買う」という状況でした。つまり、洋服を購入するように、自分が納得のいく価格とラインナップでメンズ着物を買うことができなかったのです。
藤木屋幹助はファッション業界で働いてきました。初めて着物を自分で買う時に、この状況に愕然としました。着物も着る物、衣料品であって、アパレルであり、ファッションではないのではなかろうか?ましてや日本の文化であって、こういう状況だから、呉服業界は衰退しているのではないのかと思いました。着る人が減っている、着物に興味を持っている人が減っているのではなく、着物を着たいと思っても、それをかなえてくれるお店が無いだけなのでは。 そこで、自分が買いたいと思う、男の着物を販売するショップを作ろうと藤木屋を創業する決意をしました。